グイード・ダ・レッツォ氏について

時代背景
Guido d’Arezzo{グイード・ダ・レッツォ(991年頃~1033年頃)}氏は、イタリア・トスカーナ州アレッツォ出身の修道士・音楽理論家です。
11世紀のヨーロッパでは、教会音楽の中心は グレゴリオ聖歌。
しかし、旋律は口伝に頼ることが多く、学習や正確な演奏が難しい状況でした。
- 旋律を記憶する必要があり、ミスが多発
- 教会間で曲の統一が困難
- 学ぶのに非常に時間がかかる
この状況を打破したのが、グイード氏の革新でした。
課題もあった中世記譜法のネウマ譜
グレゴリオ聖歌は、「ネウマ譜」で記録されていました。
初期ネウマ(9~10世紀)
- 形状:四角形(■)や菱形に近い記号が中心
- 意味:旋律の上昇・下降の方向を示すだけ
- 課題:
- 音高が曖昧
- 音の長さ(リズム)が不明瞭
- 口伝依存のため学習効率が低い
後期ネウマ(11世紀~四線譜導入前)
- 線に沿って音符を置くことで相対的な音高が判別可能に
- ■型だけでなく、角型や菱形など多様な形が登場
- とはいえ、絶対的な音高や音長はまだ不明瞭
つまり、ネウマ譜は旋律を「思い出すヒント」に過ぎず、正確に歌うには経験と記憶が不可欠でした。
グイード氏が四線譜を考案
グイード氏は、ネウマ譜の問題を解決するため「四線譜」を考案しました。
- 四本の線に音符を配置することで、音高を正確に示せる
- 線の色分け(赤=F、黄色=C)により視覚的に音程を把握
- 修道士は 線と記号を見ながら正確に歌える
この四線譜は、従来の「口伝+ネウマ」方式に比べて学習時間を大幅に短縮。
後世の五線譜の原型となりました。
ソルミゼーション:Ut–Re–Mi–Fa–Sol–La
グイード氏は音階教育を効率化するため、8世紀のランゴバルド王国の歴史家・修道士であるPaulus Diaconus{パウルス・ディアコヌス(720年頃~799年頃)}氏作のラテン語のグレゴリオ聖歌「聖ヨハネ賛歌」の頭文字から音名を作りました。
「聖ヨハネ賛歌」の画像
「ResearchGate」
https://www.researchgate.net/figure/A-manuscript-of-the-hymn-Ut-queant-laxis-27_fig1_365629995
(2026年3月9日閲覧)
「聖ヨハネ賛歌」の画像
「picryl」
https://picryl.com/topics/sheet+music+of+guido+of+arezzo/ut+queant+laxis
(2026年3月9日閲覧)
Ut – Ut queant laxis(ウット クエアント ラクシス)
意味:あなたの僕(しもべ)たちが、のびやかな声で
Re – Resonare fibris(レゾナーレ フィブリス)
意味:あなたの素晴らしい行いを響かせて歌うことができるように
Mi – Mira gestorum(ミラ ゲストルム)
意味:あなたの驚くべき業を
Fa – Famuli tuorum(ファムリ トゥオルム)
意味:あなたの僕(しもべ)たちが
Sol – Solve polluti(ソルヴェ ポッルーティ)
意味:汚れた
La – Labii reatum(ラビイ レアトゥム)
意味:唇の罪を解き放ってください
Si – Sancte Iohannes(サンクテ イオハンネス)
意味:聖ヨハネよ
- 手や視覚を使い、正確な音程を学習可能
- 初期は 「ウット、レ、ミ…」 と歌うのが正式な発音
- 当時の ソルミゼーション=音名で歌う練習法は、Ut–La までの6音を指した
- 16世紀頃:Si が追加 → 7音になった
- 17世紀:Ut を Do に変更(歌いやすくするため)
- 7音目の Si や後の Do は、教育上後から追加されたもの
- 現代では Do–Ti(またはSi)までの7音 が標準的なソルミゼーション
Ut(ウット)からDoへの変遷
発音と理由
- 中世ラテン語では Ut = ウット
- 高音域や速い歌では発声しにくく、教育的にも不便
- 17世紀、イタリアの音楽理論家、Giovanni Battista Doni{ジョヴァンニ・バッティスタ・ドーニ(1594年~1647年)}氏が Do に改変
- 「Do」は「Dominus(主)」の頭文字でもあり、宗教的意味も付加
影響
- 発音しやすくなったことで、ソルフェージュ教育がより実践的に
- 中世の「ウット」から現代の「ド」に変化する過程は、歌いやすさと教育効率の両立が目的
Guidonian Hand(グイードの手)
- 指や手の各部を音階に対応させる学習法
- 教師なしでも旋律を正確に歌える
- 16世紀まで修道院で標準的に使用
- 四線譜+ソルミゼーション+手法で、視覚・身体・耳の三つを同時に使う学習法が完成
ネウマ譜と四線譜の比較
- 音高:ネウマ譜=曖昧 / 四線譜=正確
- 音長:ネウマ譜=不明瞭 / 四線譜=相対的に判別可能
- 学習効率:ネウマ譜=低 / 四線譜=高
- 教育方法:ネウマ譜=口伝依存 / 四線譜=視覚+身体+聴覚で学習可能
- 記号の形状:ネウマ譜=■型、菱形型、角型 / 四線譜=四線上の音符(角型・菱形型)
影響と理念
- 音楽教育革命:修道士や学生の学習時間を大幅短縮
- 後世への影響:五線譜や現代のドレミ唱法に直結
- 哲学:「音楽は学べるものである」
- 視覚化・体系化・記譜化により、音楽を科学的・理論的に理解可能にした
豆知識
- 「グイードの手」は指ごとに音を割り当て、手を見ただけで音程が分かる
- Ut–Re–Mi–Fa–Sol–La は聖ヨハネ賛歌の頭文字由来
- 中世の正しい発音は ウット、レ、ミ…
- ネウマ譜の形状は時代によって変化。初期は ■ 型、後期は角型・菱形型も登場
まとめポイント
影響:中世~ルネサンスの音楽教育に革命的影響。現代のドレミ唱法・五線譜の原型
呼称:Guido d’Arezzo(グイード・ダ・レッツォ)
時代:11世紀(991頃–1033頃)
場所:イタリア・アレッツォ
功績:
ソルミゼーション(Ut–Re–Mi–Fa–Sol–La)
Guidonian Hand(グイードの手)
四線譜の考案による記譜法改革
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